指針とは漢方医学においての診断をさします。診断の方法として「望診」「聞診」「問診」「切診」の４つがあります。ここでは、一番最初に書いてあります「望診」について詳しく説明をしたいと思います。

望診（ぼうしん）とは、視覚によって状態を観察し、情報を収集することです。全身の状態（精神状態や体格など）から、顔色、舌の順に見ていきます。

１、精神
　表情、動作、姿勢、話し方などから意識状態や精神状態を判別していきます。このような診断を漢方医学では望神と呼んでいます。

２、体格
　その人の「証」を判断できます。ただし、その体格が生活習慣によるものか、体質的によりものなのかの判断が重要となります。

患者の顔に艶が出てきて透明度が増してくると、病状が快方へ向かっていることをあらわします。逆に、艶がなくなり暗くなってくると、思わしくないことを示します。

１、顔色

顔色	状態
白	呼吸器系（肺）が弱い。貧血傾向。体の冷えなど。
頬などを中心に赤い	発熱。発熱がない場合は、循環器系統（心）に問題が考えられる。
青	体の冷え。また、肝臓系統（肝）に問題のある人も多い。精神的ストレスにより、肝の緊張（肝気鬱結）が静脈の流れを阻害する。
黄	黄疸。消化器系（脾）に問題のある人が多い。
黒ずむ	腎臓、副腎、脳下垂体などの機能（腎）に問題のある人が多い。また、う血（瘀血）の場合など。

２、顔や頭部

顔や頭部	状態
シミが濃くなる	肝気鬱血から瘀血を生じる。または老化。
髪の劣化、細くなる、脱毛、白髪など	腎機能の低下している場合が多い。また、ある種の栄養障害（気血の不足）で、血液が充分に髪に達しないとき。
目の充血	のぼせがあったり（熱を示す）、肝機能が鬱滞していることが多い。（必ずしも臨床検査値の所見に異常は出ない）

　病気についての情報を得る方法で、『望診』の中でも特に重要な項目です。舌の本体と舌面上に付着する舌苔（ぜったい）に分けて観察します。

１、色、形

形	状態	色	証
胖大はんだい	舌体が大きくはれぼったい	淡白色舌苔は白く湿潤	気虚・陽虚脾虚・腎虚
		淡紅色舌苔は膩	湿盛
		紅色	胃熱・心熱
		青紫色	中毒
歯痕しこん	舌辺に歯型が残る	胖大舌	脾虚など
痩薄そうはく	舌体が薄くやせている	淡白色	気陰両虚陰陽両虚
痩薄そうはく	舌体が薄くやせている	紅色～深紅色	熱盛傷津陰虚火旺
点刺てんし	舌尖・舌辺に見られる紅色の点（紅点）あるいはとげ状の隆起	舌尖の点刺	心熱
		舌辺の点刺	肝熱
		舌中の点刺	胃熱
裂紋れつもん	舌面上に亀裂が出来る	淡白色	気血両虚
		乾燥	陰虚
		乾燥し深紅色	熱盛傷津陰虚火旺
光滑光舌・鏡面舌	舌苔がなく、舌面が平滑で乾燥し光沢がある。	淡紅色	気陰両虚
光滑光舌・鏡面舌	舌苔がなく、舌面が平滑で乾燥し光沢がある。	深紅色	熱盛傷津肝腎陰虚

２、舌苔

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