　陰陽虚実では、病気の状態や時期を示すものでした。この気・血・水とは病気の成り立ちを考える概念、病気の原因を説明する上で重要な要素となります。　漢方医学の考え方とは、気・血・水が体の中を廻っていると考えます。その気・血・水が滞ることなく流れ調和がとれている状態を健康といいます。逆に滞ったり乱れたりすると病気になると考えられています。この概念を西洋医学に置き換えて考えた場合、神経・免疫・内分泌に相当すると考えていただいて間違いはないでしょう。

気について

気とは生きるパワーの源と考えていただいて間違いはないでしょう。もっと具体的に言いますと摂食意欲（生きようという気持ち）や消化力（生きる力）です。気が原因で起こる状態としては次のようなものが挙げられます。

気虚

生きようとする力が弱くなった状態」をいい、元気のない状態をいいます。たとえば、疲れやすい、言葉に力がない、脈に力がない状態です。この状態を改善する効果のある漢方は、気を養う朝鮮人参を主薬とする四君子湯や補中益気湯などを用います。

気滞

字の通り、気が滞った状態をいいます。気が喉のあたりに停滞して「のどが詰まっている感じがする」と表現されるのがそうです。改善には紫蘇葉や厚朴を利用します。配剤された漢方薬は半夏厚朴湯や香蘇散などがよく用いられます。西洋医学的には神経症やノイローゼに該当します。

気の上衝

気のめぐりが障害されて、気が上に衝きあがって、のぼせ、ほてりの症状が起きてくることをいいます。

血について

「血」とは西洋医学での血液と内分泌系を含めた物と考えていただいてよいでしょう。血の病態には「瘀血」と「血虚」があります

瘀血

血液の循環障害と類似したものと考えることができます。全身を正常に巡るべき血液が一か所に滞り病的な状態となるになるというものです。症状は口渇、下腹部痛、肌荒れ、シミ、月経異常などです。治療薬としては、駆瘀血剤が使われ、代表的なものとしては「当帰芍薬散」「桂枝茯苓丸」「桃核承気湯」などがあります。

血虚

出血や血の生成障害により血が足りなくなった状態をいいます。めまいや顔面蒼白などが主な症状。治療には「四物湯」が用いられます。

水について

「水」とは漢方医学においては、血液以外の生体防御機能をいい消化系も含まれます。「水」の病態を「水毒」或いは「痰飲」と言います。

水毒

病態的な体液の偏りによるものです。浮腫（むくみ）、うっ血性心不全、胃下垂、腎炎、胸膜炎などが挙げられます。処方としては「五苓散」「越婢加朮湯」などが用いられます。

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